【中通りの食堂】福島県伊達市 保原町 駅前食堂

飯坂温泉から国道399号を東に進み、旧保原町(伊達市)の中心あたりにくると国道沿いに飲み屋がたくさんある。
幹線に沿って商店街があるところは多いが、飲み屋街があるところは珍しい。

ちょうど昼前であったので、昼食がてら保原の街を歩いてみた。

保原町

保原町にある鉄道駅は阿武隈急行の保原駅である。 保原駅は郊外という感じで、駅前の青春夢通りという通りには(なんじゃそりゃ)、ゲオやコープといった広い駐車場を有した郊外店が並んでいる。
歩いているような人はいない。

保原駅

駅の前の道を北上して国道399号の延長線にある県道150号まで出ると、飲み屋が見え始める。
かつて日本中を風靡したアジア系の看板が多数見える。
飯坂より間違いなく飲み屋は多い。それほど大きな街とも思えないが、地元の需要が福島を代表する温泉観光地の需要を上回っているのである。
観光大国を目指すのもいいけれど、地元のベースの経済をしっかりさせずに観光投資を行ってもいずれ廃墟化していくだけだと思う。

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国道の交差点の西には古そうな商店が続いており、この交差点周辺が街の中心に違いない。

更に進むと福島交通保原バスセンターがある。車ではバスセンターの存在にまったく気が付かなかったが、歩いてみると気付くことは多い。

福島交通保原バスセンター

このバスセンターの向かいに駅前食堂という名の渋い食堂がある。
バスセンターはロータリーのような作りになっており、もしかしてバス停留所のことを駅と呼んでいたので駅前食堂という名前にしたのだろうか。

駅前食堂

11時をすぎて店の営業も始まっていたので、この歴史ありそうな食堂で昼食をとることにする。

保原町 駅前食堂

店に入るとテーブルに座ってスマートフォンを見ていた高校生くらいの娘が立ち上がった。
厨房内には顔は見えないが別の女性がいたので、親子でやっているのかもしれない。

保原町 駅前食堂

メニューは壁に短冊で書かれており、黒板ではアジフライが力強く推されている。

座敷の壁には単品とアルコールのメニューが貼ってあるので、夜は居酒屋としてやっているのだろう。
早い時間にここを一軒目としてアジフライをつまみに焼酎を飲み、そのまま交差点周辺のアジア系の店で管を巻けば保原の夜は成就できると思う。

その他、駅前地獄行きラーメンというのがところどころに色付きで書かれており、店としてのおすすめのようだが、そんなのは食べない。
王道の注文、かつ丼である。

かつ丼が来るまでの間店内を観察していると、2枚の写真が目に入った。

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なんと向かいのバスセンターは路面電車の駅だったのだ。それで駅前なのか・・。
この駅を中心として飲み屋街もつくられていき、そして廃線とともに駅前の街だけ残って唐突な幹線沿いの飲み屋街となったのだろう。
そういえば中央交流館の駐車場に電車が展示されていたような気がする。
福島県に路面電車があったとは露知らず、観光用の飾りかと思っていたけれど実物だったのか。 そういえば福島交通飯坂線も阿武隈急行も路面電車っぽいな。

点と点がつながり線になった。もはやかつ丼のことは忘れていたが、娘が小声でお待たせしましたとかつ丼を運んできた。

保原町 駅前食堂 かつ丼

地方の食堂では味はともかく量は多くしておきましたというところも数多くあるが、ここは小振りで丁寧なつくりであった。
元駅前一等地の面目躍如といったところか。

娘は人見知りなのか、こちらが不審なので警戒しているのか厨房に引っ込んだままだったので、早々に会計を済ませて中央交流館の電車を見に行った。

保原中央交流館 チンチン電車

飲み屋が多くて怪しい街だと思っていた保原町を一気に好きになった。
また来よう。