鳴子に行くまえに遠刈田温泉によった。
遠刈田温泉といえば神の湯と壽の湯の二つの共同浴場が有名である。
神の湯の横の無料駐車場に車を止めた後、最初はよりひなびた感のある壽の湯に行こうと思ったが10時30分開始でまだやっていない。
神の湯でもよかったのだけれど、新たな温泉探索ということで「まほろばの湯」に行ってみることにした。
まほろばの湯
今年は雪が少なく3月なので安心していたのに、蔵王の麓のこのあたりでは雪が降っていた。
もう地面も暖まっているので積もることはないだろうけれど、恐ろしい。
まほろばの湯は遠刈田温泉の中心から松川を渡って左に曲がった先にある。
無料駐車場から歩いていけないこともないが、曲がり角に案内がないし、特になにかあるわけでもないので車で行ったほうがいい。
手前から(西から)第一駐車場、第二、三、四と駐車場が並んでいる。
よくある駐車場のつくりならば第一が一番近いと考えるが、ここはそうではない。4台くらい止められる第三が入り口に一番近く、第一が一番遠くて広い。遠いと行ってもしれた距離なので、ゆったりと止めたい人は第一がよいと思う。
第一にはRVパークがあって車中泊ができる。
一台ものすごくでっかいキャンピングカーが止まっていて展示用かと思ったら、中に人がいたので実車なんだろうと思う。
車もすごいが、あの大きさの駐車場を確保できるというのもすごい。
開店直後で車も少なかったので、第三駐車場に車を止めた。
前の道にはスピード抑止の段差がいくつかあって、皆スピードを落とすので道路横断は安全である。
ただ来た車すべてがゆっくり走るので、この温泉施設はどれだけ人気なのだ!と気持ちがあせるが、そんなことはない。
入浴料は平日通常700円。のはずだが、券売機では700円のところが停止となっている。
なにか特別料金が追加されるのかと受付に聞いてみると木曜、金曜はサービスで500円らしい。webには載っていないうれしいサービスである。
食事処の先の浴場には内風呂と露天風呂がある。両者は違う源泉で、内風呂はかなり透明で露天風呂は少し濁っている。
露天風呂のほうが共同浴場に近い泉質のように感じた。
明らかに泉質の違う二つの温泉に入れるのはお得である。
脱衣場には蔵王周辺の温泉の由来のような「三階滝の蟹鰻合戦」の話が貼られていた。
伝説としてもあまりに無茶苦茶だと思ったので引用しておく。
遠刈田温泉から蔵王山に登る道中の三階滝の上の滝壺に蟹のヌシがいたが、大きくなりすぎて手狭になり、徐々に下の滝壺に移ってきた。
一方、一番下の滝壺には古鰻がおり、蟹の侵出に脅威を感じ、美しい娘に化けると遠刈田の狩人に助力を求めた。娘は十五夜の晩に滝下のまないた岩の上で男女の争いが起こるから、男の方を撃ってくれと狩人に金の玉を渡した。
狩人は了承し、いわれた晩に滝下の木立に隠れてその争いを見ていたが、急にこの金の玉を我が物にしたくなり、家に戻ってしまった。娘は巨大なもくぞうがにと化した男のハサミに切られてしまい、鰻の姿となって死んだ。その鰻の頭が青根の温泉に飛んだ、そこの湯は頭の病気に効く。また、胴は峨々の温泉に飛んだので胃の病気に、尻は遠刈田の温泉に飛んだので足の病気にそれぞれ効くという。
そして、切られた鰻の血は川を染めて白石の近くまで流れたそうな。これ以来、この川には鰻が上らなくなった。
一方、鰻を裏切った狩人は祟りで片目がつぶれてしまった。狩人の子孫も片目だという。
伝説はさておき、神の湯と壽の湯がそれぞれ330円なので、通常価格ならば倍以上で高いし、自分ならば共同浴場を使うと思う。 ただ500円ならば170円の差額で内風呂、露天風呂、サウナがあり、かなりお得だ。
日常使いや温泉周りではなく、一箇所の温泉でゆっくりしたいならば、源泉も二つあるし食事もできるし、こちらを勧めてもよいかなと思った。