【湯治宿・自炊宿の宿泊】福島県福島市 飯坂温泉 あたご屋

先週に引き続き飯坂温泉である。

先週の平野屋の食事付きもよかったが、今週は素泊まりで餃子を食べることにした。
素泊まりで安いところを探したら、摺上川の反対側に「あたご屋」という新しい旅館がヒットする。
あのあたりは前田屋旅館に泊まったことがあるけれど、そんな場所に旅館があった記憶はない。
ネットの情報はほぼなく、楽天トラベルでは素泊まり専門で炊事場もあると書いてあるのでもしかしたら穴場かもしれぬと思い予約した。

あたご屋

飯坂温泉の無料駐車場に車を止め、まずは偵察である。
飯坂温泉のシンボルである十綱橋を渡る。

十綱橋

橋の先の交差点を左に曲がり、ちゃんこちゃんこの湯という足湯の先があたご屋である。
古くなった旅館が並ぶ飯坂温泉のなかで、目を引くほど洒落た旅館だ。近年泊まったことのない新しさである。

飯坂温泉 あたご屋

駐車場が前にあることも確認できたので、チェックイン時間の15時まで温泉街をブラブラし15時すぎに旅館に戻ると駐車場に2台の車があり止める場所がない。
前に車を止めてどこに止めればいいか受付のおばちゃんに聞くと、すぐ動かすから待ってくれとのことだった。旅館に遊びに来た人が止めていたようだ。

受付で宿帳を記載し、先に会計を済ませる。今回は楽天でカード決済していたので、この場での支払いは入湯税150円のみ、総額は宿泊料4,000円、消費税400円、入湯税150円の計4,550円であった。

部屋

外観は大きな旅館であるが、部屋数は2Fに一部屋、3Fに4部屋の計5部屋と少ない。

2Fには48畳の大広間、二つの浴室と摺上の間という名前の部屋がある。
天井が高く、もともと部屋数の少ない(高級?)旅館であったものをリノベーションしたようだ。

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この旅館は楽天トラベルで予約する際に部屋を選択できる。
今回は情報もなかったのでなんとなく名前で摺上を選んだが、浴室も近く結果的によい選択であった。一人泊で温泉好きな人は摺上がベストだ(ただし大広間で宴会をやっていないときに限る)。

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部屋を開けると洗面台があり、3畳の踏み込みに大きめの冷蔵庫と金庫がある。
冷蔵庫の上には電気湯沸かしとコップ類が置いてあり、冷蔵庫は空ではなくアルコールやジュースが半分くらい入っている(飲んだ場合は出発時に精算)。

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踏み込みと8畳の部屋の畳は新しく、また部屋は2面に窓があり明るく贅沢である。
備品はエアコン、テレビ、ティッシュ、フェイスタオル、歯ブラシである。浴衣はなかったように思う。

WiFiは各部屋で接続でき、実測で25Mbpsでた。

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部屋のチェックが終わり次は館内の確認である。
まずはトイレに行って(洋式でウォシュレット付きである)部屋に戻るとボタン錠が開かない。
鍵を見ると違う部屋の鍵だったのでフロントに鍵が違うと交換しにいくと、遊びにきたのであろうばあさん二人と受付の人が談笑している。
鍵を変えてもらって部屋に戻ろうとするとおばちゃんがお風呂はもう入れますからと声をかけてきた。
それに合わせてばあさんの一人が「うちもいっしょに入りたい❤ だーはっはっはっ」と大笑いしている。
40年前のばあさんなら私も受け入れたかもしれない。しかしながら現実は過酷なものである。

温泉

浴室は二つあり、男女入れ替えとなっている。なってはいるが、当日の宿泊は私だけのようで浴室の入れ替えもなかったので、勝手に入れ替えて両方はいった。
丸い浴槽(ハートっぽい)が縄文の湯で、小さいほうが弥生の湯である。

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激熱そうに見えるが湯の投入量が少ないので、それほど熱くない。41−42度くらいで酔っ払った状態で入るには熱いかなという感じである。
弥生の湯のほうは更に投入量が少ないのでもう少しぬるいように感じた。ともに24時間入浴可能である。

注意点として縄文の湯のすりガラス(一部開けられる)のすぐ向こうは、旅館正面から見て右側にある路地の階段である。 うかつに窓を開けたりガラスに近寄りすぎると、外を歩いている人に刺激を与える可能性がある。意識しておきたい。

調理場

この旅館はなんと調理場が開放されており、自炊可能である。 流しに電磁調理器、鍋類があり、電子レンジも置いてある。自炊に不都合はない。

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一番奥の白い食器棚には大量の食器が入っており自由に使っていいそうだ。おそらくここはリノベーション前の厨房だったのだろう。
飯坂で自炊できるところは少ないと思うので、自炊派は積極的に活用すべきである。

と、自炊推進派ながら、今回の目的の一つが円盤餃子だったので結局調理場は使わずに終わってしまった。
餃子を調達したのは「ひたち」である。

食べログなどでは金曜でも17時開店から行列ができると書いてあったので開店と同時に入ろうと思っていたが、いろいろやっているうちに出遅れて17時過ぎに旅館を出ようとすると玄関はすでに施錠されている。

鍵を開けようとしていると奥からおばちゃんが出てきて、外出するなら部屋の鍵は預かると言う。
鍵を預けるのは構わないが玄関はずっと閉まっているのかと確認すると、だいたい施錠しているらしい。用心かなにか知らないが、玄関を施錠しっぱなしの旅館も珍しいと思う。
ひょっとして夜間は無人になるのかと思い「今日はここにいるのですか」と続けて聞くと「私はもう上がるけれど別の人が来る」とのことだった。誰かはいるようだ。

日が沈みかけた十綱橋を渡り、ひたちの前まで行くと行列などなかった。

飯坂温泉 ひたち

行列どころか最初の客だった。2年前に「おがた」に行ったときも地元客が二人飲んでいただけですぐ入れたし、イベントでもなければ平日に行列ができることはないようだ。
まあ普通に考えれば地元の人もだいたい17時過ぎまで働いているだろうし、17時に行列ができるわけはないような気もする。

ひたちでは円盤餃子と薄皮円盤餃子を1枚ずつ持ち帰りで買った。なんの関係があるのか不明だがJAFの割引があり、円盤1枚あたり1,300円から200円引きで2枚で2,200円だった。
焼き上がりまで10分ほどかかるので座って待つかと聞かれたけれど、いてもつまらないので暗くなる前の鯖湖湯などを見に行った。

15分ほどして戻っても客はいなかった。

円盤2枚というのは、どれだけ餃子好きなんだという量の多さである(右が薄皮)。

飯坂温泉 ひたち 餃子

純米酒を飲みながら30個食べて、残りの10個が食べられない。仕方ないので腹ごなしに外出することにした。
いつも温泉旅館に泊まったときは宿から出ないのだが、それは飲みすぎて気絶していたり、外に出ても店がないからである。

飯坂温泉は寂れつつあるといえども大きな温泉街であるし、前を何度も通ったことはあれど入ったことのない「夜桜マリ」がある。

飯坂温泉 夜桜マリ

受付は体格のいいおっちゃんに変わっていた。
出掛けに何時に玄関を閉めるのか聞くと22時ごろには帰ってきてほしいらしい。少し早いような気もするが、一杯飲むだけなら十分である。
部屋の鍵は取られなかった。

夜遅くに歩くのは初めての飯坂温泉は思いの外営業している店が少なかった。
十綱橋から鯖湖湯を越えて、営業しているところはほぼ無い。

暗い中、夜桜マリまで行くと、夜桜マリも営業していなかった。残念・・・。
(飯坂温泉の案内によると21時からの営業のようなので少し早かったのかもしれない)

他の店に用はないので、照井など有名店の状況を見ながら帰る。
照井も空いているようだった。

旅館に戻って残りの餃子を食べながら飲み直す。あとは水分補給と温泉の繰り返しである。
深夜3時頃限界を迎えて、朝までゆっくり眠った。
翌朝見送ってくれたのは昨日と同じおばちゃんだった。

この宿は宿泊料も安く、自炊もできる飯坂では貴重な旅館である。おまけにリノベーションされて新しい。
自炊派に知れ渡れば部屋数が少ないこともあり、予約が取りづらい旅館になるだろう。

遊びにきているらしいばあさんがフロントにいるなど変わったところはあるけれど、安宿では普通のことである。

予約が取れなくなる前に急いだほうがいいぞ!