同月に川渡温泉の高東旅館へ2回宿泊するという逃避を果たした帰り道、以前探索して良い町だと感じた保原で昼食をとることにした。
高東旅館を11時に出発して、大和インターから村田インターまでは東北自動車道を使い、保原に到着したのが13時30分だった。
いままでは仙台宮城インターからイオン仙台中山経由もしくは国道457号経由の下道を利用していたが、仙台の北西部はどうしても混雑するので(関東のほうがもちろん混雑はひどいけれど気分の問題)、高速でバイパスしてみた。
高速料金はETC休日割引で970円、時間にして30分ちょっとは短縮でき、その他下道は車も少ないのでずいぶん楽である。
赤がき食堂
赤がき食堂は以前保原に来たときに前を通ってチェック済みである。
駐車場はなかったような気がするので、保原中央交流館のチンチン電車の前に車をとめる。
ここはイベントでもないかぎり空いているし、道を渡ったところに公衆トイレまであり休憩には最適の場所だ。
その公衆トイレを越えて南に進む道を突き当りまで行き、右(東)に曲がるとすぐに赤がき食堂はある。
店の前には配達用だろう出前機の台がついたスーパーカブが止まっている。
店にはいるとおっちゃんとおばちゃんが並んで座敷に腰をかけてテレビを見ている。
他に客はおらず、座敷に上がらないで腰をかけているということはこの二人が店の人なんだろう。
まだいいですかと聞くと、どっこいしょという感じで立ち上がり「いらっしゃい」と入店を許された。
おばちゃんはエプロンをつけ始めたので、もう今日は来ないだろうと閉店気分であったに違いない。
店内は四人掛けテーブルが三つに二人テーブルが一つ、座敷に四人掛けが二つ、カウンターに三席となかなか広い。
二人とも厨房にはいってしまい水は持ってきてくれなかったので、おそらくセルフなんだろう。
メニューは麺類中心だが、丼物とくにカツ丼が4種類と充実している。ソースかつ丼とかつ丼の二種類にそれぞれヒレとロースがある。
豚カツの専門店でもない限りカツ丼はロースと選択の余地がないものだが、ここはこだわりがあるようだ。
あと店の看板は「お食事処 赤がき」となっているが、メニューには「赤がき食堂」と書いてある。
料理にこだわりはあれど店名にこだわりはないようだ。まあ、常連客などは店名を知らず俗称を使っているということもままあるのでどっちでもいいんだろう。
ずいぶん昔に上野のバーでマスターと豚カツはロースがうまいか、ヒレがうまいか議論したことがある。
自分は油が味だと思っているので断然ロースと主張したが、マスターは「食べなれるとヒレのほうがうまいんだよ」とまったく譲らなかった。
なにが旨いと感じるかは人それぞれなのでこんな議論に答えはないのであるが、そのマスターは相当な食通であったので、これまで食べてきたパサパサのヒレではなく、肉汁に満ちたようなお高いヒレは旨いんだろうなという思いは残った。
あれからずいぶん時間が経って、あのときマスターが言っていた食べなれるというのは年取って身体が油を受け付けなくなるということではと実感しているが、この店のヒレとロースには関係ない話である。
ここ最近食べたカツ丼は卵とじばかりだったので、久しぶりにソースかつ丼にしてみる。そしてヒレを選択する。780円と800円なら切りのいい800円にするだろう。
前方の二人掛けテーブルの上に置いてある新聞を取るかどうか悩んでいる最中にソースかつ丼はやってきた。
ソースかつ丼を食べていると、おっちゃんは裏口から表に出てスーパーカブに乗ってどこかに出かけていった。しばらくして岡持ちをもってかえってきたので、出前の食器の回収に行ったんだろう。その後も何度か往復していたようだ。
会計を済ませて腹ごなしに保原の飲み屋ビルを少し周って、再び赤がきの前を通るとのれんはしまわれており今日の営業は終了したようだった。
日中営業のみの食堂のたんたんとした日々の流れを垣間見れたようで少し心地よかった。