【最上の温泉】山形県鮭川村 羽根沢温泉 共同浴場

新庄から車で北西に30分ほど走ったところに羽根沢温泉郷がある。
温泉郷といっても同じ最上地方の肘折温泉や瀬見温泉のような温泉街とは違い、県道の終点(実際は終点ではなくまだ山に続く)に旅館が三軒、共同浴場が一軒、食堂が一軒あるだけの小さな集落のようなところである。

温泉街としては寂れている感じが否めない。
しかし羽根沢温泉は温泉王国山形のなかでも上位に位置する泉質なのだ。

鮭川村

鮭川村の由来は最上川支流の村を南北に流れる鮭川が由来だそうで、名前のとおり鮭がたくさん遡上してきたのだと思う。いまでも秋には鮭漁が行われていて、さけがわ鮭まつりというのもある。
とはいっても鮭川は村の観光の売りにはなっていないようだ。やはり観光資源としては古口や左沢から見る最上川には負けてしまうのだろうか。 実際、村の中を通って鮭川を見てきれいな川だなーと思った記憶もなく探索をしたこともない。今度行ったときにはじっくり見てみよう。

その鮭川村で一番の観光地が「トトロの木」こと小杉の大杉である。
おそらく第二の観光地が羽根沢温泉なので、トトロの木と羽根沢温泉はセットにしておきたい。

小杉の大杉(トトロの木)

となりのトトロが上映されたのは1988年なので、トトロブームは30年以上前の話である。
30年も前の映画をいまだ観光として使えているとは宮崎駿監督恐るべし。

樹齢は1000年、地元の神木だったらしいので(鮭川村観光案内参照)、地の人から見ればトトロなど最近のことでずっと前から名所だったのだろう。

ナビで近くまで行くと「トトロの木」と書かれた看板があり、看板に従って進むと駐車場に着く(NAVITIMEだと近くで案内が終わる)。 駐車場にはトイレもあり、村一の観光地らしく自動販売機まで置いてある。
そして小杉の大杉を見るための見晴台みたいなものもある。が、そこから見る小杉の大杉はまったくトトロに見えない。

小杉の大杉

どちらかといえば愛・地球博の偽キャラ「モッコロとキリゾー」のキリゾーに似ているだろう。

トトロの木と認識するためには駐車場横のあぜ道(舗装されているけれど車で入ってはいけないよ)を進んでいく。
木のところまで行ってもまだトトロとして認識はできない。
更に木道を進み終点まで行くと「ここから見るとトトロだ」と書いてあるので振り返ると、たしかにトトロがいる。

トトロの木

右耳にあたる杉の葉に隙間ができて、寄る年波なのか禿げてきたような気がする。

羽根沢温泉

トトロの木を満喫したあとは温泉だ。 県道にもどり更に西に進むと羽根沢温泉に着く。集落のなかに大きな駐車場がある。ここにもきれいなトイレがあって地元の方々の清掃活動がありがたい。

駐車場の北側には旅館が三軒並んでいて、その反対側の川沿いに共同浴場がある。

羽根沢温泉 共同浴場

初めて行くと分かりづらいが、祠の先の多目的集会所と書いてある建物の一階だ。

入り口に近づくとけたたましい自動音声が流れる。
そしてドアのところにはコイン投入機があって、入浴料200円を投入すると解錠されるようになっている。
5年ほど前は自動音声だけでお金は箱に入れるような形態だったが、この人里離れた温泉街にも世間の風は吹くのだろう、更に厳しくなっている。
瀬見温泉の共同浴場も同じようにコイン投入、鍵解除スタイルだし、観光客のマナーの問題なのか地域性なのかどちらか知らないけれど、最上地方はよほど無銭入浴に困っているのだと思われる。

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そんな無銭入浴事情はさておき、浴場にはいるととろみのある温泉が浴槽から溢れ出ている。
とろみのある湯といえば鳴子温泉郷の中山平温泉が有名だが、ここだって負けていない。
中山平温泉の共同浴場「しんとろの湯」は大きくて人も多いので独占することはなかなか出来ないと思うけれど、こちらは小さいので独占できる可能性が高い。
そして湯量が豊富なので浴槽から出ている間にすぐ湯がたまり、入るたびに溢れ出る湯を感じることができる。
浴槽が小さいとはいえ温泉の投入量の多さを感じることは滅多にないし、さらに加えてとろみのある温泉である。
あまりの贅沢さに出たり入ったりを繰り返し、なかなか出ることができない。

羽根沢温泉 共同浴場

地元の人はたいてい車でやって来て祠の前あたりに車を止めるので、湯を独占したい人は車がなくなるまで川を見たり、駐車場の向かいの加登屋食堂でご飯を食べたりして時間をつぶそう。
夕暮れ時などは当然混むので、農家の人が働いていそうな時間を選ぶのは前提である。

冬の羽根沢温泉

山の中といえど雪がなければ羽根沢温泉まで車でくることは簡単である。
ただ雪がふるとなにせ豪雪地帯なので、関東の雪道素人には手に負えない。新庄駅から羽根沢温泉の村営のバスがあるけれど本数が少ないので日帰りで共同浴場というのは厳しい。
雪道になれていないならば冬場は素直に旅館に泊まって新庄駅から送迎してもらうというのが正解だろう。

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写真は雪が少ないと言われた数年前の朝6時台の除雪後の駐車場。
6時前から除雪が始まり、さすが雪国は大変だと思った。