【湯治宿・自炊宿の宿泊】福島県福島市 飯坂温泉 平野屋旅館

2月も下旬となり、ほぼ雪の心配もなさそうなので久しぶりに車で温泉にいくことにした。
直近で車を使用したのが昨年の12月なので、もう2ヶ月エンジンをかけていないことになる。

バッテリーの充電も兼ねて鳴子まで長距離ドライブを考えたけれど、道路凍結したりするのが怖い。
ある程度距離があって山に入らない温泉ということで、飯坂温泉の平野屋旅館を予約した。

飯坂温泉

冬の飯坂温泉は3回目である。 前の2回はJRで行った。新幹線を使わずとも上野を7時台に出発すれば普通電車で12時すぎに福島まで行ける。 それぞれ伊勢屋と前野屋旅館に素泊まりで泊まった。

伊勢屋に泊まったとき、地図にダイユーエイトというのがあったので夕食を買おうと雪で凍った道をとぼとぼ歩いて行ったら(結構遠い。20分くらい住宅街の道を歩く)、そこにあったのはホームセンターで泣きそうになったことがある。栃木にはダイユーというスーパーのチェーンがあるので紛らわしい。

前野屋旅館のときは2回目だったので、どういう店があるのか把握できており「おがた」で円盤餃子を買った。
持って帰っている途中で韓国から来た観光客に伊勢屋の場所を聞かれ、道を教えるのも難しいので伊勢屋まで連れて行ったら餃子がすっかり冷えてしまった。

おがた 円盤餃子

飯坂温泉には円盤餃子の店やコンビニ、弁当屋まであるので、素泊まりでも困ることはない。

今回も素泊まりにしようかと思ったが、楽天トラベルでヒットした平野屋旅館には朝夕付きで税別5,000円というプランがあった。さらに料理少なめの4,546円のプランまである。
写真ではかなり古そうな旅館ではあるが、温泉街の旅館は老朽化したところばかりであり、また主にそういうところに泊まっているので大した問題ではない。
食事量としては料理少なめのプランで十分なのであるが、ここは贅沢に5,000円のプランでお願いすることにした。

平野屋旅館

平野屋旅館は飯坂温泉駅を降りて信号を渡って摺上川に沿って進んだところにある。波来湯の正面である。

飯坂温泉 平野屋旅館

渋い。この外観をみて「ここかよ・・」と思うか「おー、いいねー」と思うかは人それぞれだろう。
私は後者で、外観だけで今回の旅行の成功を確信できた。

正面の波来湯が改築されて新しいので、時の流れがさらに強調されている。

波来湯

建物を正面から見て右側に駐車場がある。頑張れば2×3の6台くらい止められそうだが、奥の3台は前が出ないと出られない。
楽天トラベルの案内には駐車場が10台とあるので、どこか別にスペースがあるのかもしれない。

ちなみに駐車場の右隣の旅館は閉館している。

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チェックインは15時からだが、14時30分くらいに到着してしまった。
飯坂温泉の九つの共同浴場はすべて入浴済みであるし、やたら熱いうえに特徴もない湯なので改めてはいる気もしない。

フライング気味ではあるが玄関を開けてみると、ご主人が迎えてくれた。「15時予定だったので電気をつけていなかったんですが」と電気をつけながらの案内となったが、悪いのはこちらである。

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奥行きの深い建物で、玄関の先の階段をあがったところに浴場があり、さらに上がったさきに部屋がある。 左右に分岐があったり、部屋まで微妙に角があるので方向音痴の人は十分に確認したほうがよい。

建物の作りを最後まで理解できず、温泉にはいる度に違う階に行ったりまっすぐ部屋にたどり着くことができなかった。
立体図を描くような訓練をすればこの迷子癖は治るのかもしれないが、構造認識に根本的な問題があるのかもしれない。

館内の非常設備はバッチリである。

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部屋

案内された部屋は8畳に広縁で、和式トイレもついていた。
布団はすでに敷いてある。

飯坂温泉 平野屋旅館

中庭に面した広縁には小型の冷蔵庫と洗面台がある。
二階分上がったはずなのに庭があるとはどういう造りになっているのか謎である。ここは丘なのか?

飯坂温泉 平野屋旅館

テレビとティッシュもある。
浴衣とタオルもおいてある。両方とも持参するので使わないけれども。
暖房はガスファンヒーターである。部屋が温まるとすぐ暖房を消して、また寒くなるとつける自分にとっては、石油ファンヒーターよりガスのほうがありがたい。

WiFiはないようだ。
駅あたりは飯坂温泉のWiFiがふいているので、駅から1分のここもはいれば良かったのだけれど残念ながら圏外である。

洋式トイレは浴場の向かいの男性用トイレに一つある(男女別の共同なので女性用は不明)。

温泉

温泉は24時間入浴可能で、広めの浴槽に湯の投入量は少なめである。
飯坂らしく激熱なんだろうと恐る恐る湯を浴びると、40度くらいの適温だった。

飯坂温泉 平野屋旅館

ご主人にここの温泉は熱くないですねと聞くと、浴槽の大きさに対し湯の投入量が少ないので熱くないとのことだった。
それでも夏場は熱くて入れない人がいるらしい。冬場でちょうどよくなっているのだろう。
飯坂の湯は攻撃的に思っていたがそれは熱いからで、適温だと優しい湯だった。

この浴場の外には「只今御婦人の方が御入浴中ですので暫くおまち下さい」と書かれた看板があったので、ここは男女共用の浴場なのかもしれない。

案内はされなかったが家族風呂と書かれた小さな浴場も別にあった。

飯坂温泉 平野屋旅館

食事

食事は夜は18時から朝は7時からでともに部屋食である。

この値段にしては考えられない量で、部屋食の場合片付けやすいようにお盆のまま配膳されるところが多いが、ここは料理を並べてくれる。

飯坂温泉 平野屋旅館

まあ食べられるだろうとお酒を飲みながら一品ずつ食べていったが、陶板焼きと蕎麦(茶色のヒョウタンみたいな入れ物)と茶碗蒸しがどうしてもはいらない。
限界を迎えたので30分ほど横になったが状況は変わらないので、陶板焼きはガスコンロのコッヘルに詰め替えた。
蕎麦と茶碗蒸しはどうしようもないので、泣く泣くあきらめた。

下げに来たご主人に「蕎麦と茶碗蒸しが食べられませんでした。みなさん、この量を食べられるのですか」と泣き言をいうと、常連のお客さんはご飯を食べず料理だけ食べるとか工夫をされているらしい。
蕎麦と茶碗蒸しは置いていきましょうかと情けをかけてくれたので、ありがたくお受けした。

満腹で苦しいまま温泉にはいり、横になったらそのまま眠ってしまい、起きたら23時だった。 再度温泉にはいり、詰めた陶板焼きをコンロで温め飲み直す。

飛行機に乗らない限りはいつもジェットボイルのガスコンロを持参しており、湯を沸かしたりするのに重宝している。今回も温め直しに役立った。

置いて行ってくれた蕎麦の入れ物は三段になっていて、上段がそばつゆ、中段が薬味、下段が蕎麦である。
変わった入れ物があるものだ。

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朝食も量が多いものと警戒していたら、朝食は普通の量だった。

飯坂温泉 平野屋旅館

朝食を下げるときに会計を済ます。
消費税をいれて5,500円だった。暖房費とか入湯税とか別に費用がかかると思っていたが、料金5,000円のほかは消費税500円だけだった。

安すぎる。
24時間温泉に入れて、おなか一杯になってこの値段で大丈夫なのだろうかと心配になる。

出発の時間をたずねられて10時までゆっくりさせもらいますと答えると、お発ちの時にお見送りできないかもしれませんのでここで失礼しますとご主人は去っていった。

7度目の温泉にはいると、そとで猫が獲物を捕らえたか発情したかで「なおーん、なおーん」と鳴いている。

すっかり満足して荷物を持って出発すると、ご主人がロビーで待っていてくれた。お気をつけてと引き戸を開けてくれる。

温泉、料理、接客どの面でも満足できた旅館だった。
かなり老朽化しているので設備面にこだわる人には向かないかもしれないが、どこの温泉街でも昔からある旅館はたいていボロボロである。
温泉旅館はこういうものだと割り切れば、何度でも来たくなる旅館だと思う。

素泊まりもできるようだけれど(電子レンジなどの炊事用設備はない)、差額でこの食事を外食でとることは不可能だと思うので断然食事つきをお勧めする。