【置賜の温泉】山形県飯豊町 がまの湯温泉 いいで旅館

山形県飯豊町は温泉が少ないというイメージがある。
それでも日帰りに特化した温泉センターのような施設はないものの、宿泊施設が日帰り設備を併用しているところが3箇所ある。 1つ目は山の中にある「広河原温泉 湯の華」で間欠泉のある温泉として知られている。ただ山の中すぎて頻繁に行くには不便すぎる。
町のなかには二つあり、一つは「いいで添川温泉 しらさぎ荘」で、もう一つが今回行った「がまの湯温泉 いいで旅館」である。

羽前椿駅

いいで旅館はJR羽前椿駅から歩いていける距離にある。
東日本でJRの駅から歩いていける温泉というのは思いのほか少ないもので、鉄道派には便利な施設だと思う。
ちなみにもう一つのしらさぎ荘も羽前椿駅から十分に歩いていける距離にある。いいで旅館のほうがだいぶ近いけれど。

羽前椿駅

羽前椿駅は道の突き当りにあり、駅に続く広い道は路上駐車が多かったのか駐車ができないようにポールが並べてある。パーク&ライドのように使っていた人がたくさんいたというのか。
駅舎は地方交通線としては立派な建物だ。行ったのが土曜日だったので比較的広い待合室には誰もいなかった。平日には飯豊町観光協会の人がいるらしいので、もう少し雰囲気が違うのかもしれない。

羽前椿駅

JR東日本発表の2018年の乗車人員によると、一日平均の乗車人員は25人で駅舎の大きさに比べて圧倒的に静かな駅というのは間違いないようだ。

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いいで旅館

羽前椿駅を出て最初の交差点を右に曲がってしばらくいくといいで旅館が見えてくる。
他の建物より少し高く横に長い建物なので、初めてでもだいたい分かる。

いいで旅館

入口は二つあって正面から右が日帰り入浴客用で、左が宿泊者用である。中は一緒なので分ける必要がないような気もするけれど、両方の入口の真ん中あたりに日帰りの受付があるので、右から入ったほうが帳場に行ったりするような間違いはないだろう。
右から入ると正面には食堂のようなものがあり、その手前には野菜が売っている。

いいで旅館

白菜がでかい。街中に住んでいると白菜をまるごと買うような機会が少ないので、白菜とはこんなにでかかったのかと思う。
どういう客層の人が買っていくのかよく分からないが、売れる見込みはあるのだろう。余れば旅館の食材にすれば解決するはず。

温泉の入口は受付に向かって左奥にある。1Fは仕切がなくつながっているので、自分のような方向音痴がうろうろしているとどこにいるのか分からなくなってくる。

いいで旅館

がまの湯 由来

脱衣場には鍵のかかる無料のロッカーがある。
脱衣場にはがまの湯の由来が書いてあり、旅館のホームページに書いているかと思ったら無さそうなのでここに引用しておく。

明治二十年頃、椿の伊藤さん宅で働いていた「さく」という娘がおった。さくが夏草刈りに行きにぎりめしをほおばっているとき、大きなガマ蛙が片足を引きずり泪を流しながら、湧き出る泉に入っていったそうな。
あくる日、その場所に行ってみると、そのガマ蛙は、ほとんど回復し、ぴょんぴょん飛び回っていたそうな。
さくが、家に帰ってこの話をしたところ、主人の伊介が「世の中の人々のため」と、さっそく湯治場を作ったそうな。
その名が「がまの湯」。一度は途絶えた湯治場も、お湯だけは、途絶えなかった。昭和に入って五十三年、「今一度世の中の人々のために」と当館主の山口稔が五キロの道のりをパイプで引いて、旅館「がまの湯」を再開した。

にぎりめしをほおばるというさくの行動の必要性が見いだせないが、ここは冷鉱泉で20.1度と書いてあるので蛙にもちょうど良かったのだろう。が、人間が長時間入るには冷たすぎる。当時の冷鉱泉にはどのように入っていたのだろう。
冷たい源泉につかって、そのあと五右衛門風呂のような沸かし湯にはいったのだろうか。そうだとするとあまりたくさんの客はさばけないような気もする。
あと 5キロ離れた源泉の箇所がもとの湯治場だったと思うのだが、それはどこだったのだ。
疑問はいろいろ尽きない。

湧き上がる疑問はさておき、浴場は内風呂と露天風呂がある。
内風呂のカランには一つ一つに仕切があり、プライバシー性は高い。

いいで旅館 内風呂

露天風呂は浅く、蛙の投入口の反対が斜面になっており寝湯スタイルである。

いいで旅館 露天風呂

冷鉱泉ゆえ加温に加えて循環、塩素消毒であるが、薄く濁っていて気持ち良い湯だ。
行ったのは土曜の13時ごろで、浴場内の他の客は入ったときに一人、途中誰もおらず、出るときに一人だけだった。
食堂やその周辺には人が多くいたので、10時の日帰り開始時間には入浴客が多いのかもしれない。それでも浴場の大きさに比較すれば混み具合はしれている。

昼過ぎなら空いているだろうし、下道で最上方面から会津方面に移動する際の飯豊山脈を超える前の休憩地点として便利だ。最上町の赤倉温泉から2時間半くらいだった。