2020年も始まり、肘折温泉に雪を見に行く季節がやってきた。
今年は全国的に雪が少ないと聞いており、雪のない肘折温泉に行くのもどうかとも思ったが、日本有数の豪雪地域の肘折ならばある程度積もっているだろうと例年通り肘折温泉に行くことにした。
ここ数年ルーチン化しているのでそろそろ宿泊先を固定してもいい頃だ。けれどもあともう一軒くらいは泊まってみようとネットで予約を受け付けておらず、あまり情報のない某旅館に電話してみたところ、湯治料金は3泊以上で2泊なら1泊税別7,500円とのことで断念。
じゃらんと楽天トラベルで1泊2食付き消費税込み7,000円となっていた松屋を予約した。
肘折温泉
肘折温泉へは大蔵村の村営バスで新庄から向かう。
新庄駅前にバス停があるけれど、皆ここから乗るので一つ手前で始発の県立病院前から乗る。
ここから乗る人はごく少ないし、始発なので乗車時にゆっくり往復券が買える。
新庄駅から県立病院に歩いていくと、北側の道路にそってバス停がある。そこは市内の路線バスのバス停で羽根沢や肘折に行くバスのバス停は病院の正門のところである。もし県立病院前から乗る人がいれば注意してほしい。
県立病院前からの乗客は自分を含めて二人で、新庄駅で満席プラス補助席1人という状態になった。
今回はほぼ全員が肘折まで乗っていて、これまでは混んでいても途中で降りてしまって肘折までは数名ということばかりだったので驚いた。土曜日のバスはもっと混んでいるのだろうか。
四季の宿 松屋
松屋は第一停留所と第二停留所の間にある。
旅館がどこにあろうと終点の肘折温泉待合所まで乗るので、今回も一番最後に降りた。
バス停ではおばちゃんが降車客に「〇〇さん?」と訪ねている。肘折ではよく見る光景である。どこかで見たおばちゃんだと思ったら、木村屋旅館の女将だった。
泊まったのも2年前で向こうは毎日の客で覚えていないだろうが、こちらは覚えている。たしか去年はご主人がバス停に迎えに来ていたような気がする。
待合所から道を戻り松屋まで来ると松屋の外観はいつも泊まっている民家のようなところではなく、立派な旅館の姿をしており、ほんとうにここであっているのかメールの予約内容を再確認した。
玄関をはいると人がよさそうなおっちゃんが出迎えてくれる。
そして出迎えると同時に靴をどこかに持っていかれる。
フロントで一通り説明してもらっているうちにひとつ問題が発覚。食事は部屋食ではなく、広間で食べる形式だという。
ネット上の情報では安いプランでも部屋食となっており、ここを選んだのも部屋食だったからだ。食事の提供方式は宿の自由だが、肘折の湯治で広間で合同の食事というのは耐えられない。
1泊目はすでに部屋も食材も準備済みであろうからキャンセルはしないが、部屋食でないのだったら2泊目はキャンセルしたい旨を伝えたところ、おっちゃんがそれなら部屋にお持ちしましょうと妥協案を出してくれた。ありがたい。
なんだか準クレーマーのようになってしまったが、滞在中他の部屋の廊下に下げられた膳を見ると自分と同じ内容のものもあったりして、部屋食には複数人の宿泊、何泊以上など一定の決まりがあるのかもしれない。
部屋
部屋は踏込から畳敷きでトイレもついている。
トイレが部屋についている旅館に泊まるのは久しぶりだ。
冷蔵庫や金庫、電気ポットそれにアースジェットまで置いてあり、虫さんの来訪にも万全である。
そしてティッシュやタオル、歯ブラシもある。
WiFiはWEPだが、広縁側でも十分に速度がでる(測ってみたら13Mbpsだった)。
部屋の暖房は石油ファンヒーターで、二重窓ということもあって広縁にいても寒さを感じることはない。
毎日おっちゃんが灯油が足りているか確認に来るが、ここの旅館は時々ファンヒーターをいれるだけで十分暖かい。それに寒くなれば温泉にはいればいい話である。
ファンヒーターの電源を切っているのをみておっちゃんが寒くないのかと呆れていた。
廊下には流しがあり、そこに燃えるゴミと燃えないゴミ(ビンやカン)のゴミ箱がある。
自炊宿ではないのでコンロや電子レンジはないものの、部屋設備に関しては至れり尽くせりといっていいだろう。
ネット上には設備は古いが清潔に保たれているなどの評があったけれど、これで古いならばいつも自分が泊まっている場所などは旅館ではなく小屋になってしまう。
ただ一点だけ気になったのは、廊下に喫煙場所があること。部屋に匂いがまわってくることはなかったけれど、元喫煙者ながらもう喫煙場所は屋外でいいんじゃないかと思う。
喫煙場所に血圧計が置いてあるのはなにかのシャレかも。
温泉
温泉は男女別の浴場と、当旅館の名物らしい洞窟乃風呂がある。
男女別浴場
男女別浴場は24H入浴が可能。
肘折の湯は上の湯の源泉を除いて濁っているところが多いが、ここはかなり透明である。温泉表示に「かけ流し、循環ろ過」と書いているので関係あるのだろうか。「温泉水は、すべてかけ流し(放流式)です。」との文言もあるのでよくわからない。
また深夜時間帯(0時から5時)は浴槽内の塩素消毒を行っていると書いてある。
洞窟乃風呂
洞窟乃風呂は1時間毎の男女交代制で(23時以降入浴不可)、有料で貸し切りが可能。
通路は短いのかと思っていたら、高さが低く結構長い(数十メートルはある)。閉所恐怖症の人には無理だ。
温泉は男女別浴場と同じと書いてあるので、一回はいれば十分な気がする。
ここの旅館は部屋にトイレがあるからか宿泊客がうろうろしておらず、また温泉も空いている。
10回超の入浴で他の人と一緒になったのは1回だけだった。
食事
食事は人のいいおっちゃんが持ってきてくれる。食べ終わった膳は廊下に出しておく肘折スタイルである。
湯治泊であっても昼食はつかない。
夕食
朝食
2泊目はほぼ同じ内容だったので割愛(鮭が甘露煮に変わった)。
おすすめ感
旅館というよりホテルという感じである。
設備はきれいだしトイレも各部屋にあるので、流しやトイレが共同なのは嫌という人には最適だと思う。
温泉も空いていたし、出迎えの時を除いてフロントに人もいないので自由にフラフラできた(フラフラしている人はいなかったようだが)。
宿泊料金に暖房費は含まれており、表示料金の7,000円以外に必要なのは入湯税150円のみだった。冷暖房費が別途必要なところが多いなか明朗会計である。
入湯税が別なのは予約サイトが消費税抜き価格で表示しているし仕方ないだろう。
今回は部屋食にしてもらったが部屋食でないパターンがあるので、その点で個人的には再訪を悩むところではある。 ただ(もはやそういう機会もなくなってしまったが)女性を連れてくるならここは最適なんじゃないかと思うので、現代版湯治場を求める人に対してはおすすめできる旅館である。
注)現代版湯治というのがなにかは知りません。