飯坂温泉にやってきた。前回が2018年2月なので、ちょうど2年ぶりだ。
飯坂温泉に到着したのが13時前で昼食には最適の時間である。駅を越えて駐車場に車を止めて歩いて食堂を探した。
飯坂といえば円盤餃子であるが有名店は夕方からの営業で昼にはやっていないし、昼に餃子とご飯というのも物足りない気がするので、探すのはいつも通りカツ丼がある食堂である。
飯坂温泉
3年前の飯坂温泉では、駅前の十綱食堂に行った。
ここは名前は食堂であるがメニューには丼ものしかなく、仕方なくというか喜んでカツ丼を食べた。
そのときは結構雪が積もっていた。
写真は3年前と今回のものだが、店の車の止め方がまったく変わっていない。歴史はこうやって作られていくのである。
2年前は花水坂駅の近くの食堂に行ったらご飯がきれたと断られ、天王寺穴原湯まで歩いていって温泉にはいっているうちに昼時を過ぎて食堂が軒並み閉店してしまい、パン屋わたなべでパンを買って侘びしく旅館で食べることになってしまった。
前回の轍を踏まないよう地図であたりをつけ、摺上川を北上していく。 まずは吉原食堂に行く。
やってない。
食堂ではないが手前の福住旅館も本日休館と書いてあったし、ここらあたりは金曜休みのところが多いのか。
すでに13時30分過ぎで急がないと数少ない営業店も閉店してしまう。そのまま北上して、保原屋食堂に行くことにする。
保原屋食堂の手前には巨大なホテルがあった。こういう巨大なホテルは泊まり客を囲い込んでしまうので、温泉街が廃れてしまう原因ではないのかと思う。
保原屋食堂
店に入るとテーブルが三つと座敷席が三つあり、先客はテーブルに一組だった。
先客は餃子でビールを飲んでいるようだ。
私も酒は好きな方だが昼に飲む習慣はないので、昼に飲んでいる人を見るとアル中なんだと思ってしまう。アル中かどうかはさておき自席で飲んで迷惑をかけない限りは自由である。
一番奥のテーブルに座ると、厨房の境となっている引き戸の向こうから腰の曲がったばあさんが出てきた。 注文はカツ丼がある限り一択である(800円)。
水を持ってきたばあさんに「カツ丼お願いします」というと、えっ?という感じになった。
外国人と思われたのかもしれぬと「カツ丼です」と低めに言うと、「はい、かつどんー」と叫びながら厨房に下がっていった。
ちょっと耳が遠かっただけなのかもしれない。
座敷の上のテレビではコロナウイルスの感染者数の話をしている。
騒いでいるのは分かるが、なにを解決したいのか要領を得ない。こういうやり取りをできる人がえらくなるのは分かっているけれども、こちらは筋道を立てられないうえに言語不明瞭なので話にならない。
厨房でじゅうじゅうという音が聞こえた後、カツ丼がやってきた。
腰の曲がったばあさんは、「カツ丼きましたー!」とやたら元気である。
玉ねぎなどは閉じたというより焼いたという感じであるが、さきほどのじゅうじゅうという音は締めにカツ丼を焼いた音だったのだろうか。
付属の汁物は味噌汁かと思いきや、中華スープであった。
食後、会計をしようと引戸のむこうのばあさんに声をかけると、ばあさんは書き物をしていてこちらに気づかない。
再度「ごちそうさまでした」と声をかけると書き物を終えたあと、ばあさんはこちらにやってきた。
耳が遠いというよりも自分のペースを大切にする人だったのかもしれない。