【湯治宿・自炊宿の宿泊】南魚沼市 五十沢温泉 ゆもとかん元湯(旧館)

六日町の東に車で10分ほど走ったところにある五十沢温泉をご存知だろうか。
混浴の露天風呂があったりする「ゆもとかん」という旅館が有名なので、温泉好きの人は知っているかもしれない。
今回はその「ゆもとかん」の旧館(源泉)に泊まった話である。

五十沢(いかざわ)温泉

魚沼周辺で温泉といえば、「雪国」の舞台の湯沢町が圧倒的に有名だ。西口を出て北に歩くと圧倒的な温泉街だし、駅から歩いていける範囲で3軒の共同浴場(江神共同浴場、駒の湯、山の湯)がある。泉質でいえば山の湯が一番だけれども、個人的には江神共同浴場の取り残された雰囲気が好きだ。

高名な湯沢町に比べて南魚沼市はマイナーになりがちであるけれども、魚沼市の中心の六日町にも温泉がたくさんある。ただ共同浴場は少なく駅近くに「湯らりあ」があるくらいで、ほとんどは旅館になってしまう。
温泉に関係はないが、六日町にはイオンもある。2015年には瀧本美織率いるLAGOONが来たこともある南魚沼市を代表するGMSである。LAGOONは解散し、瀧本美織も見かけなくなってしまったのは残念な話だ。

六日町周辺で歩いていける距離ではないが(路線バスはある。ただ本数は心もとない)、最高に渋い旅館が五十沢温泉の「ゆもとかん」それもじゃらんや楽天トラベルに載っている新しいほうではなく元湯のほうだ。

どちらかといえば地元の方々に銭湯的に使われているところであり、自分としてもこれまで何度か日帰り入浴で行ったことがあるだけだった。が、ついに宿泊して五十沢温泉の源泉を堪能することができた。

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ゆもとかん元湯

初めて行ったのは2016年10月である。平日の昼時に行って温泉の硫黄臭とカランからも源泉が出ていることに驚いたことを覚えている。窓をあけると田んぼがひろがり、その先に(こちらに比べて)新しい「ゆもとかん」が見える。景色は今でも変わらない。
そのときに女将らしき人にここは泊まれるんだ、素泊まりで3,600円だか3,800円だかと言われて、当日はキャンプの予定だったので泊まれなかったけれど、いつかは泊まってみたいと思っていた。

五十沢温泉 ゆもとかん元湯

3連休の初日にようやくチャンスがきた。昼前に電話しても誰もでない。これは駄目かと思いながらも昼食後の13時過ぎに電話するとつながり、一人一泊できるか確認すると問題ないとのこと。素泊まりのみで3,970円(税込み)、チェックインは15時、アウトは10時である。
16時に到着予定であることを伝え、イオンで夕食の惣菜を買い込む。自炊宿ではないようなので調理はできないとしても、電子レンジくらいはあるかもしれないし、なにもなければ持参のストーブで湯煎すればよい話だ。

予定通り16時に到着し玄関をはいると、見たことのある女将らしき人とお客さんがテーブルに座って雑談をしている。
「さっき電話したものですけど」と言うと、あいさつのあと宿帳を出された。安宿だと宿帳などないことも多いので、宿帳の記載は久しぶりだ。手ぶらで入ったので「荷物は?」と訝られたが、荷物は惣菜やお茶など大量にあるので後で持ち込むのである。先に部屋を案内してもらう。

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部屋は2Fに6部屋あり、今回は「高倉の間」だった。入口はふすまの引き戸で、二間ある一人には贅沢な部屋だ。
女将らしき人が去った後、部屋をチェックする。壁には「禁煙」、「持ち込みの空きビン、空き缶やゴミ類はお持ち帰りください」、「館内での火気使用ご遠慮ください」という紙が貼られている。最後の火気使用というのはおそらく山屋のお客さんが多いので持参したストーブで調理したりする人がいるのだろう。自分もそのつもりでストーブを持ってきたが、備品として電気ケトルがあるので火気を使用せずとも過ごせそうだ。

ゆもとかん元湯 高倉の間

さらに部屋のチェックを続ける。二間だと思っていたもう一つの部屋には開き戸がある。これはなんなのかと思って開けてみると廊下に出た。なんのことはない、本来はふすまで仕切られた別の部屋別だったのだ。ただもうひとつの部屋(鳥巣の間)に照明はなかったので、二部屋を常時一つで使っているのだと思う。

共用の設備として、2F廊下に冷蔵庫がある。
また自炊宿ではないが、常連のお客さんがキノコを採ったあとに台所で処理をしていたりするそうなので、常連になれば台所をを使わせてもらえるかもしれない。

トイレは2Fは男女共用の和式のみ。1Fに洋式がある。2Fの和式は床がピカピカに磨かれており、使用時には非常な緊張を強いられる。1Fのトイレを使用したほうが無難だ。

部屋の作りも理解したので荷物を取りに階段を降りると、女将らしき人が「お茶でもどうぞ」と声をかけてくれた。
お茶をいただきながら、むかしボーリングをしたら温泉が出たのでここ(ゆもとかん元湯)を建てた、ここでは部屋数が足りないので新たにゆもとかんを建てた、ゆもとかんの温泉はここから引いている等を聞く。
ほかに魚沼周辺で熊の事故が多いことや、猿の出没も増えたなどの話をする。ただここは川で挟まれているので猿は出ないそうだ。猿は川を越えられないらしい。 また会話のなかで判明したのだが、女将ではなく従業員でここの管理人なんだそうだ。さっきから女将らしき人と書いていたのはそのためである。
管理人なので日帰り入浴が終わる19時には帰ってしまうそうなので、チェックインやイン後の外出は19時までに終わらせるようにしたい。

温泉

浴場は1Fにあり男女別で浴槽が一つである。先に書いたがうっすら硫黄の香りがする。加温も加水もしていないので以前は熱かったような気がするが、今回は温めだった。
入浴は22時から翌6時までは遠慮してほしい旨が2Fへの階段に書いてある。ただ源泉はずっと投入されている。
日帰り入浴も終わって静かになった時間に浴場のガラスの引き戸を開けると、硫黄の香りがむっとする。これを味わえるのは市宿泊客の特権だろう。

ゆもとかん元湯 浴場

17時には暗くなったので、電気ケトルで沸かしたお湯で湯煎した惣菜をつまみながらお湯割りを飲む。
暗くなってからやってきた別の宿泊客も最初はうるさかったが、21時ころには静かになった。
11月の南魚沼は昼は暖かくとも夜はかなり冷える。お湯割りでも温まらないので、なんども温泉にはいって、いい加減にアルコールが回ってしまった後に眠りについた。