奥会津の食堂
奥会津を車で走るとなかなか食事を取るような店が見つからない。
チェーンのロードサイド店はそもそも無いし、行きたい店の対象ではないなので探すのは地元の人が通う個人店である。
車で走ると見つからないものだが、じっくり探してみると結構見つかるのだ。人口密度比なら逆に多いのではないか?
そのなかで決して流行りではない、地域に根付いた食堂を紹介したいと思う。
朝日地区 喜幸飯店
只見で唯一の中華料理屋らしい。 11-20時まで通しで営業しており町の中華として正統派だ。昼食時間をずらしがちなよそ者には重宝な店である。
国道289線を只見駅のほうに進み、黒谷川を越えた集落にある。黒谷川を超えたとろで左に曲がると「いわなの里」があり、会津朝日岳の登山口があるところと言えば分かる人には分かる。
とにかく川を超えた集落に入って、倉田屋食堂を過ぎて朝日郵便局の次の交差点を左に曲がればある。住宅地なので、ここに店があるのかと 不安になるが心配はない。
幹線沿いに店があるという概念はモータリゼーションの結果であって、集落のなりたちには関係ない話である。
外観
外気温は30度を超えているが、この店にクーラーは必要ない。窓を全開にして扇風機が2台 全力で稼働しており、それで十分しのげる。
麺類や餡かけの料理で暑さに耐えれるかどうかはその人次第であり、客にも自身の耐性、気温、扇風機の風の当たり具合を総合的に判断して注文を決める能力が求められる。
店の人は大変に暑そうだった。
町の中華料理屋だけあってメニューは豊富である。食堂や中華と書いてあってもラーメンしかないところもあるので(提供物の選択は店の自由なのだが)、ご飯ものが豊富な店はうれしい。
ビールやハイボールといったアルコールもある。地元の人が居酒屋代わりに飲みにくるのだろう。
地元色の強い食堂にはいって夜のメニューがあると、その地域にとまって飲みに行きたくなる。地元ばかりの人のなかで会話を聞きながら飲むもの楽しそうだ。 残念ながら、また来たいなと思った店の地区には温泉宿がなく実現したことがない。逆に温泉宿があるところは観光向けになっているところが多く、地元御用達というところは見つからず、みつかっても閉鎖的であったりする。よそ者の店の選択はいつもむずかしい。
子供たちの習字が飾ってあるところもいい。四文字なら二文字で折り返すところをすべて縦に書いてあり、火の思とも読める。この地区に伝わるなにか心意気があるのだろう。
また他の店でも見たが、「只見」の文字がはいった地元愛あふれるTシャツを着ているお客さんがいる。歩いて帰っていったので地元の人に違いない。只見線沿線では「只見線にみんなで手をふろう」という看板を見かけるが、同じように只見シャツを着ようという運動があるのだろうか。
ソースかつ丼
注文すると山形のだしのような見た目のキュウリをみじん切りにした漬物が突き出しとして出てきた。
唐辛子で思いのほか辛い味付けなので注意を要する(突き出しなので日によって変わると思われます)。
ご飯ものには中華の万能だしで作った透明スープがついてくる。色の違いはあれど昔の中華屋ではどこでも出てきたように思う。日本中の中華屋の伝統というか変わらぬ味だ。
その他
近所に配達もやっているようだ。
岡持ちに出来上がった料理を詰め込んでいた。横長のアルミの岡持ちで、あの大きさはなかなかない。一見の価値がある。