会津磐梯山
連日の雨も止み、夏らしい気温となった7月の金曜日に磐梯山に登ってきた。
登山は危険なルートでない限りソロのほうが気楽だし、ハイペースで進めるので一人で行くことが多い。今回は珍しく同行者のいる登山である。
ルート選定
最もメジャーなルートである八方台登山口はおそらく混むであろうし、コースタイムとしても短い。裏磐梯登山口は遠い。上級者向けは除いて残るは猪苗代登山口か翁島登山口どちらにするか悩む。
可能な限り空いているコースが望ましいので、山小屋を経由しない翁島登山口を選んだ。空いているコースという点では正解で、登山開始時、下山時とも駐車場には自車を含めて2台だけだった。一方、下山後に八方台登山口の駐車場も見たがこちらは平日にもかかわらずほぼ満車であった。
猪苗代リゾートスキー場のゴンドラはシーズン前で稼働していない。翌日からの営業だった。ゴンドラを使えば上り、下りそれぞれ1時間程度短縮できるようなのでゴンドラが稼働しているシーズンは翁島登山口も人が多いのかもしれない。
頂上まで
06:18登山開始。
翁島ルートは登山口から頂上までほぼ真っ直ぐに登っていく。前半は樹林帯でそれほど急でもないので、足慣らしにちょうどよい。
だいたい1時間程度でゴンドラの終点にたどりつく。まだガスが残っていて麓は見えない。すでに20度後半まで上がっている気温だが、乗り場は開けていて風が通るので身体を冷ますことができる。
ゴンドラ終点からもしばらく樹林帯を歩くと、唯一の鎖場がある。
この鎖場は上りは設置してあるロープを使わずとも登れる。
下りはロープを使って懸垂下降のように下りたが、ロープがなければ下りるのが厳しいような形だ。慣れたひとはどのような手順で下りるのだろうか。でもそれほど高さがあるわけではないので不安になる必要はない。
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鎖場を超えてしばらく上ると視界がひらけ、ガレ場が始まる。
南側(猪苗代湖側)がずっと開けているガレ場を上っていくので、上っているときは気にならないが、振り返ると「下りで転んだら死ぬな」という気持ちになる。
さっきの鎖場といいこのガレ場といい、行きはよいよい帰りはこわいの世界である。が、帰りを思って立ち止まっても解決しないので先に進む。
「4合目」と書いてある天狗岩までくれば頂上までは30分と少しである。 4合目の意味が不明だが、ここまで来て十分の四であるならば自分も引き返すだろう。
またこの辺りから虫が多くなってくる。気流にのってループしているのか無限にいるのか知らないけれど、無茶苦茶にトンボ落ちてくる。岩と草しかないところでなにを食べているのか。そもそもどこで羽化したのか謎が多い。
トンボなのでよかったけれど、アブとかだったら喪失者続出である。
「4合目」のスプレーのほかにも「もう一息」とスプレーした岩もある(書いてある通り頂上までもう一息の場所にある)。意図は知らないがあとになって考えるとよくない趣味だと思う。岩に対する虐待である。
頂上
ちんたら上った結果、頂上まで3時間20分かかった。標準タイムが3時間なのでかなり遅いペースである。
頂上は広く360度の眺望であるものの大量のトンボにくわえ、おおきなハエ(?)までいるので昆虫食を覚悟しないと頂上で調理はできない。
ここで途中から薄々気づいていたがアクシデント発生である。
同行者の足の状態(疲れ)では同じルートでの下山は危険だ。バックアッププランを発動する他ない。
同行者には最短ルートの八方台登山口に下山してもらい、私は翁島登山口にピストンで戻って車で八方台登山口まで迎えにいく。
「お前は向こうのルートを行け、おれはこっちのルートでいく」という会話は映画であれば死亡フラグがたつところだ。
結果、なんの問題もなく下山できたのであるが、ほかに選択肢がないといはいえ、あまり褒められた行動ではない。
体力に見合ったプランを立てるようにしましょう。
下山
八方台登山口への下山標準タイムは1.5時間、対して翁島登山口へは2.5時間である。翁島登山口から八方台登山口へは車で30分かかる。
同行者をあまり待たせるわけにもいかないので、滑落しないように慎重ながらもそれなりに急いで下った。
鎖場を過ぎたあたりで息があがってしまって一度休憩、ゴンドラ終点で大休憩をとる。10分くらい気絶した。
そこからゲレンデを一気に下りて1時間46分で下山。
まるいち食堂
同行者を迎えに八方台登山口に行く。13時ちょうどに駐車場に着くと同行者は喜多方から来たチャリダーと談笑していた。無事でなによりである。
遅い昼食は猪苗代町の人気食堂である「まるいち食堂で」のソースカツ丼(950円)一択。
豚カツが柔らかくておいしい。登山後はやっぱりカツ丼ですよね。
周りを見ると、ほかのお客さんはみな麺類を食していた。ソースカツ丼で有名な店ではなかったのか。
余談
八方台登山口から猪苗代町にむかう磐梯山ゴールドラインに栄川酒造の直売所「ゆっ蔵」がある。
今日は旅館泊まりなのでここで日本酒を調達することにし、同行者が試飲して選んだ(下山の体力はなくとも試飲はできる)純米酒の一升瓶を購入した。
それで満足すればよかったのだが、色気がでてリオン・ドールの売り場で値段を確認すると、なんとスーパーのほうが安かったのである。
直売所のほうが安いという単純な考えは流通を知らぬ者の思い込みである。
新たに百名山の一つを上ったことに加え、百戦錬磨の商人に対する無力を思い知らされた一日であった。