喜多方 甲斐本家座敷は一見の価値あり

喜多方といえば

喜多方といえば喜多方ラーメンだろう。喜多方に来たことはなくとも、ラーメン坂内などのチェーン展開している店で喜多方ラーメンを食べたことのある人は多いと思う。
だが喜多方はラーメンだけではないのだ。喜多方は武士の街である会津若松に対して、商人の街として発展してきたため中心部に古い町並みがあり蔵がたくさんある。
その蔵のなかでもひときわ豪勢な甲斐本家を紹介したい。

蔵を建てることが一人前の男の証

喜多方では40前に蔵を建てることが男の証だとかなんとかという話を聞いたけれど、それは言い過ぎではないか。商人だと蔵は必須であろうが、一つ建てると何代か持つだろうし、代替わりするたびに蔵を建てるほど繁盛が続く商売もそうないだろう。
見栄や希望からでた言葉だと思うが、それでも現代社会に蔵が残り、それを維持していることは素晴らしいと思う。個人で文化財を維持するのは大変である。

甲斐本家

正面の店蔵からして豪勢である。なにか良いもの売ってるんだろうなという感じがする。ガイドの方に聞いたところによると当家は酒造業、製糸工場、味噌・醤油醸造と次々に商売を替えていたそうだから、代々店舗として機能していたわけではないのかもしれない。この蔵を建てたときの味噌・醤油関連の商品が店蔵にマッチしていたのだと思う。

甲斐本家 吊りはしご

店蔵には吊りはしごがある。らせん状に曲がっている部分は木から切り出して作成されているそうだ。この形を作り出せる大工はそういないらしい。
二階から一階に下りながら、「いらっしゃい」と言ってみたい。ただ優雅に言えるかどうかが問題だ。その前に主人が二階にあがることはないような気もする。

住宅と蔵座敷

甲斐本家 入口

店蔵にむかって右側のレンガ塀に入口がある。庭から入るというのが下々のものの見学みたいでおもしろい。時代小説に出てくる「庭にまわれ」「へぇへぇ」という感じである。現代社会ではそこまで腰を低くする必要はない。

甲斐本家 住宅

庭からはいって左が住宅用の主屋で、奥が客用の蔵座敷である(上の写真は奥から主屋を見たところ)。
武家屋敷では住宅と御座敷が別になっているところが多いけれど、ここは商人の屋敷にもかかわらず別になっている。会津から殿様が来る予定でもあったのだろうか。

甲斐本家 蔵座敷

甲斐本家 座敷

蔵座敷は上段の間(21畳)と下段の間(18畳)の二つがあって、畳廊下(12畳)と合わせると51畳あるそうだ。
写真では壁が光って見えるが、これは小細工をしたわけではなく金箔を使用しているため光っている。座敷は普段使いはせず冠婚葬祭のときに使用していたそうなので痛まずに維持できているのだろう。座敷の奥(右手)にはともに大理石でできている客用の浴室と手洗いがある。

建設当時は人夫へ湯茶の接待ができなかったため、10銭をお茶代として配っていたそうだ。大正6年の木村屋のあんぱんが2銭だったので、あんぱん1個200円とするとおおよそ1,000円である。見栄にも程があるいうものである。

今後は有料化するらしい

ここにはボランティアでガイドの方が常駐しており、いまは無料で一通り案内していただける。
案内していただいたガイドの方は農家の出だと仰っていたが、若いころは夜の街で幅をきかせていたのではないかというような風貌で、よく話す人であった。一見無口な感じがしたけれど、もともとよくしゃべる人なのか、それとも訓練の成果なのか。
いずれにせよラーメンの話を聞かせてくれたり話題も多く、素晴らしいガイドの方であった。

受付の方は将来は有料みたいなことを話されていた。酒田市の本間家旧本邸や旧鐙屋に劣らないような文化財なので、有料になっても一見の価値はあると思う。
ラーメン屋めぐりで喜多方に行った際にはぜひ寄ってみてください。