加美町から西に進んだところに色麻平沢温泉というところがある。
付近に温泉宿などは見当たらないので近年にできたよくある温泉保養施設なんだと思う。
ただここから北に30kmほど進んだところには東北有数の鳴子温泉郷があるのである。30kmといえば都市圏ならばちょっとした距離だが、車社会のここらあたりではそこいらと言っても過言ではない。
そういう地の不利さのなかで、あえて勝負を挑んだんだかなんだ分からない色麻平沢温泉を見てみようと、鳴子温泉に行くまえに色麻町を山手に進んだ。
かっぱのゆ
加美町の中心からかっぱのゆまでは車で15分ほどである。ちょうど10kmくらいなので歩けないこともないが、なにもないところを歩くので止めたほうがよい。そもそも加美町に駅はないので歩いていこうと思う人もいないだろう。
山に囲まれた田んぼの中を進んでいき、ナビの案内道が緑から赤に変わった先にかっぱのゆはある。
通常、ナビ(navitime)の道が赤くなるところは主要道路ではない私道や林道を示していると思われるのだが、実際に走っている道は立派な道路である。
その道路を進むと、日本が金持ちであったころのコンクリート造りの箱物が現れる。
平日の午前であったが、道路を挟んだ駐車場にはけっこうな数の車が止まっている。
地方によってはその車がすべて従業員の車であったりして、中にはいると客がまったくいないということも多いのだがここはどうなんだろう。
建物に入って入り口で靴を脱ぎ、シューズロッカーに靴を入れる。鍵をかけるには10円が必要である。 帰りに気づいたことだが、10円は返ってこない。10円を惜しむ人は鍵付きロッカーではなく、オープンな棚に置くべきだ。地元の人は鍵付きを使っていないに違いない。
靴をいれたあと受付に向かうが、愛想よく「いらっしゃいませー」と手前で叫んでいるのは付設のかっぱ茶屋という食堂の人である。
初めての人は確実にそちらに誘導されてしまうだろう。そのくらい愛想がいい。
しかし温泉の受付はその先である。間違えて食堂に行ったあとに温泉の受付に行くと入浴券を券売機で買えと言われ、二重のトラップになっている。よそ者はまんまと引っかかってしまうトラップなので気をつけてほしい。
入浴券を券売機で買うと貸タオルを与えられる。帰りに貸タオルを返却し入浴券を提出するらしい。入浴が一日(1,000円)と3時間(500円)の2種類あるため考え出されたシステムなのだろう。慣れると単純なのだろうが、一見には分かりづらい。
受付を超えてようやく温泉だが、その手前にゲームコーナーがあり、なんと座席筐体のレーシングゲームがある。
自分が若いころにはレーシングではないがアフターバーナーがあり、もう少しあとにはリッジレーサーがあってかなりの投資をしたものである。
魅力ではあるが瞬殺されるのも目に見えているので止めておく。
温泉
浴槽はかなり広い。
ここまで広いと循環なのだろうが、とくに癖もない泉質なので循環であっても気にならない。
手前の浴槽はジャグジーになっていて、とくに寝湯のカーブが心地よかった。
当館のホームページを見ると、この浴場以外に露天風呂や源泉の湯というのがあるらしい。
1Fには見当たらなかったので気づかなかったが、どうも2Fに別の浴場があるようだ。
このブログを見て当館に行く人がいれば、ぜひ2Fがどうなっているか確認してほしいと思う。
かっぱ茶屋
さて入り口で非常に愛想のよかった食堂である。
加美町で昼食を取るつもりだったが、ちょうど昼時で愛想の良さもあったのでここで昼食をとることにした。
入り口で食券購入なり注文なりするのかと思ったら、席で注文、後払いなんだそうだ。だったらなんで受付に立って呼び込んでいるのか疑問だが、そういう営業方針なんだろうと自身を納得させる。
席は平日の昼前なのに半分以上埋まっている。
空いている4人席に座り(4人席しかない)、メニューを見ると山の温泉施設にしては定食などメニュー数が豊富である。


今日もカツ丼にするかと思ったけれど、ここは普段追いかけている古い食堂ではないので、健康を考えてチキンカツ定食にした。定食にすると塩分を自分で調整できる。
出来上がりを待っている間に水を汲みに行くと、給水機の横にはたくさんのキープボトルが並べられていた。夜間は地元の人の憩いの場となっているのだろう。ここまでどうやって来るのか疑問だが、そういうことは考えてはならないのだろう。
しばらくしてやってきたチキンカツ定食にはキャベツの千切りが添えられていた。
これは完全に自分の嗜好の問題だが、基本的に冷たい料理が嫌いである。なのでキャベツの千切りを味噌汁に入れて温めてから食べる。ここだけではなく、どこでもそうする。
当然あまり見た目の良い食べ方ではないので他の人がいるときはやらない。実行するのは一人のときだけ、かつ他人から見えない状況のときだけである。
唯一の難点は配膳時に熱かった味噌汁があっという間に冷めてしまうことである。なんとかならんかなぁ。