肘折温泉の旅館は湯治泊だと連泊時は昼食がつくところがある。今回泊まった旅館には昼食がなかったのでカルデラ温泉館まで歩いていって昼食をとろうと思っていたら、休館日でおまけに1月なのにしとしとと雨が降り、遠方まで歩いていく気がしない(旅館の人の話によるといでゆ館、カルデラ温泉館とも1月は休みのことが多いらしい)。
近場で済ませようと上の湯の向かいにある田舎家に行くことにした。
上の湯
上の湯と田舎家のところまで旧肘折郵便局の角を曲がればすぐなので、旅館の傘をささずにフードをかぶって歩いた。その短い距離でも雨ですっかり濡れてしまう。
肘折の豪雪を見に来たのに雨に濡れるとは思わなかった。
食事の前に上の湯に行く。
肘折の湯はたいてい濁った湯であるが、上の湯の湯は透明である。ここと隣の亀屋旅館だけがこの源泉を使っているそうだ。
昼時だと地元のじいさんが寝ていたりしたこともあったけれど、今日は誰もいなかった。
いつも通り湯気が激しくてレンズが曇る。
脱衣場は棚しかないけれど、浴場と脱衣場の境がガラスなので脱衣場荒らし対策に多少の効果はある。
田舎家
田舎家は上の湯の向かいにある。
もともとは飲み屋ビルかなにかだったような気配である。
昼は食堂で、夜は居酒屋としてやっているらしい。
肘折で昼食をとれるところは何軒かあるが、夜に食事(飲み)ができるのはここだけだと聞いた。
店内にはカウンターと3つのテーブル席があって、真ん中のテーブルでは先客が麺類を食べていた。
入り口側のテーブルは店の人が作業をしていたようでプリンターなどが置かれている。必然的に奥のテーブルに向かおうとすると、店主が「片付けますからこちらにどうぞ」と入り口側のテーブルを案内された。
注文は基本のカツ丼である。 カツ丼はご飯の量を少なめ、普通、多めの3つから選べるらしい。そう言われると多めにせざるを得ない。
雪が少ない話などをした後ここには来たことがあるのかと聞かれたので、肘折には毎年来ているがここは初めてだと言うと、70年前の上の湯あたりの写真を見せてくれた。
1950年といえば戦後間もないころであるが、戦後というより明治、大正のころの写真に見える。
道の真ん中に水路があるのは昔の街のよくある造りであるが、今は跡形もない。
カツ丼はミチミチに詰められた弁当のような状態でやってきた。
漬物が自家製なのかどうなのかは不明だが、とても味が濃い。おそらく1日の塩分を摂取したような気がする。
食後にはサービスでコーヒーをいただける。好きなスティックコーヒーを選び、自分でポットからお湯をいれるセルフである。セルフと言ってもコーヒーカップ、スティックコーヒーがはいったカゴ、ポットは席まで持ってきてくれる。
会計は600円だった。店内に貼っているメニューにも600円と書いているしそのまま支払ったが、この記事を書きながら店の外に掲示されているメニューを見ると650円になっている。
増税のときに値上げを決めたもののオペレーションのアップデートまで手が回らず、旧価格のままになっているのだろう。次回、カツ丼を食べる機会があれば指摘したい。
会計後店を出るときに、奥からどうもありがとーとご主人の大きな声が聞こえてきた。
夜は居酒屋だし、話好きなご主人なのかもしれない。