強めの雨が降っていた土曜日に福島県側から白布温泉に行った。
国道459号を経由して、県道2号米沢猪苗代線に進む。山のなかの道なのでなにもないところかと思っていたら、桧原湖まではホテルやペンションが点在するリゾート地だった。まったく知らなかった。
もう少ししたら紅葉の季節となり混雑するのだろう。当日は米沢市側の西吾妻スカイバレーあたりで少し黄色くなっているくらいでまだ早く、また雨も降っていたので車もほとんど走っていなかった。
白布温泉
白布温泉より北の小野川温泉の共同浴場には何度か行ったことがあって、温泉街として栄えており、観光客もたくさんいた。
白布温泉は小野川温泉より有名なので、さぞ繁盛しているところなのだろうと行ってみると街は非常に静かで寄るようなところもなかった。着実に寂れつつあるという点で正統派の温泉街といえる。米沢側の入口付近にある閉館している「かんぽの宿 米沢」の建物が悲しい。
対して小野川温泉がなぜ観光客を集めているかというと、当地がJR東日本とJTBの旅行商品開発の対象に選ばれたことが大きいようだ。少し前の資料になるが、立命館大学の論文に活性化の要因が研究成果として記されている。
先述の「かんぽの宿 米沢」は取得価格24.6億円の取得額に対し、56百万円で大江戸温泉物語グループに売却されたそうだ。売却の経緯はさておき同宿はずっと放置されたままである。大規模ホテル、旅館は温泉街にくる観光客をごそっと抜き取ることで利益をあげるような仕組みなので、それほど街の規模が大きくない白布温泉では営業のメリットがないと判断したのだろうか。
買い物や食事をするところがない街(旅館内で収束してしまうようなところ)は単に旅館が集まっているだけのことで、一軒宿と変わらないような気がする。
米沢市森林体験交流センター 白布 森の館
福島県から県道2号を下ってくると、白布温泉の入口にあたる個所、天元台ロープウェイの湯元駅に向かう道をまがった先にある。
車がたくさん止まっている割に温泉には誰もいなかったので、研修や催し物に利用されることが活発なのかもしれない。当日も多目的室でなにかの教室が開催されており、子供がたくさんいた。 森林に関わる事業なのか木質ペレットが複数個所に積まれている。通信販売でペレットを買うと送料が高くなるので、近くの人はここに買いにくればよいと思う。
温泉
10月からの消費税アップに伴い、入浴料金が395円から405円に改定されている。券売機などはないので、受付にいるおっちゃんに料金を支払うと「浴室等利用券」というものがもらえる。405円のうち入湯税が75円と書いてある。500円だすと95円のお釣りになるので釣銭用の小銭を用意するのが手間だと思うが、公共の施設だと料金を変えるのにも明確な理由を用意して議会の承認を得たりする必要があるのだろう。
温泉は三角形の浴槽にかけ流しである。
湯の投入量は浴槽の大きさに比較して多くはない。入浴客が多ければ鈍ってしまうかもしれないが、入浴客が少ないので問題はない。ちょうど13時くらいで自分以外誰も来なかった。
浴槽の底には湯の花が沈んでいて、浴槽にはいると湯の花が舞う。
ゴミに見えるが、掬い取って確認したので湯の花で間違いない(と思う)。
食堂
受付の横には食堂もある。こちらも昼時なのに誰もいない。多目的室にいた人たちは弁当でも持ってきているのか。
代わりに広い窓にはたくさんのカメムシがいる。山の建物とカメムシの関係は切っても切れない。人類が滅亡してもゴキブリは生き残ると言われているが、カメムシも生き残ると思う。
メニューは豊富だ。
と、そのときは思ったけれど、改めて確認すると見せ方で多く見えていただけかもしれない。でも山の中では十分である。
「スタミナ丼」というのが気になったのでおばちゃんに聞いてみると、「スタミナ丼は豚」だという。
豚がどう調理されているか回答に含めるべきだと思うが、豚なら間違いなかろうとスタミナ丼を注文した。料金は後払いである。
スタミナ丼は豚丼であった。ニンニクが感心するくらい効いている。
味噌汁にはいっている具の正体が分からなかったものの非常に満足した。
食器を下げ(セルフサービスなので)、料金を支払い、外をすこし歩いた。
福島県は土砂降りだったのに晴れている。このあと村山地方に行ったらやはり雨が激しい。
ここだけ紅葉前の秋晴れという感じだった。