秋山郷 結東集落「萌木の里」の紹介と見倉集落近くで熊に遭遇した話

津南秋山郷 萌木の里

秋山郷は秘境と言われる場所だけに、昼食をとれる場所が非常に少ない。栄側の信州秋山郷の小赤沢と切明、津南側の結東の3ヶ所くらいだろうか。いずれも公営(?)の施設で昼食をとることができる(ほかにも一部旅館等でとれる)。 そのなかで今回は結東にある「萌木の里」に行ってみた。

萌木の里

食堂

ここの最大の特徴は11:00から17:00まで通しでやっていることである。昼食のタイミングを外してもここに来ればなんとかなる。ただお昼時を外すとやっているんだか分からない雰囲気になるので、奥にむかって呼びかけよう。

注文は今回も「とんかつ定食」1,100円である。豚好きなのかもしれない。

萌木の里とんかつ定食

前回来たときよりも量が減ったような気がする。

ただ、ここが人口の極端に少ない地方の難しいところで、来客数に期待できないうえ施設の維持費、従業員の給与等を考えると原価は高くなってしまう。また採算が合わないからといって閉館してしまえば観光に来る人は更に減る。地域としてはジリ貧である。
町中の家族経営の店と比較するにはハンデが多すぎる。

観光で来る者もその地域が好きであるならば、その地域にお金を落とすべきである。ま、お金を落とそうにも、店がまったくない(もしくは開いていない)地域もありはするが。

食事を待っている間、また食事後には各テーブルに置いてある秋山郷の案内図をぜひ読んでほしい。これを見ればどこを観光すべきかすべて分かる秀逸な作品である。

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温泉

内湯と露天風呂がある。同一料金で両方に入れるが、内湯は入ったことがない。
少し離れた場所にある露天風呂の景色が非常によく、近隣では屈指の眺望ではないだろうか。アブの活動期を除いて、身体を洗う必要がなければ露天風呂がお勧めである。

萌木の里露天風呂

2017年の写真。湯船を写さなければただの山の写真になってしまうほど開放的である。
秋山郷の温泉全般に言えることだが、日中帯はあまり入浴客がおらず独占できることが多い。ここでは景色まで独占できる。日頃の行いの成果に期待しよう。

見倉集落の近くで熊に遭遇

大赤沢に抜ける東秋山線の見倉集落の近くに風穴がある(集落の人が日常使用している風穴とは別)。

萌木の里で食事をとった後の16時ころに、風穴で涼もうと山の中にはいっていくと、道路から10メートルほどはいったとろでガサガサと音がする。最初はこのあたりの 人が何人かで草でも刈っているのかと思ったほど、人一人で生じるガサガサ感ではなかった。
風穴とは反対方向だったのでそのまま風穴に行ってもよかったのだけれど、一応確認しておこうと音のするほうに向かって進んだ。

そこで、ふと上を見上げたら小熊が木に登っていて降りてこようとしている。

成長した単独の熊なのか親子連れなのかは分からない。北秋田のくまくま園で観察した成長したツキノワグマよりは小さく感じたので、おそらくツキノワグマの子供だと思う。
とにかくまずいと思ったので、車のほうに全力で走った。

熊に出会ってしまったときの対処として、

  • 走って逃げない。
  • 後ろ向きにならず、静かにゆっくりと後退する。

と解説されている。
正しい対処としてはそのとおりなのだろうが、訓練していない限り走って逃げてしまうのが本能である。

山からアスファルトのところまで出てそのまま車に乗ればよいのに、立ち止まって藪のほうを見返すと息をしているんだかうなっているんだかの音がする。また慌てて車に乗り込んだ。

しばらく車のなかにいると、たまに車は通るし、遠くからは鳥獣対策と思われる爆発音が聞こえてくる。

熊は車の音や爆発音にはすっかり慣れているのだ。

鳥獣対策の方法や成否に文句を言うつもりは毛頭ない。夏の食物の少ない時期に動物も必死だろうし、農家の方々の被害も深刻だろう。よそ者の我々がとやかくいう問題ではない。

ただ今回の熊の遭遇で思ったことは、「自分だけは遭遇しない」という特別な意識を捨て、被害にあわないための対策をつねに実施しておく必要があるということだ。

熊が生息している地域では、少し山に入っただけでも熊に遭遇する可能性がある。

もう会いたくはないが、次回同様のことがあった場合はただしく後退しながら脱出できるよう訓練をしておきたい。